2016-05-07

『モンスターマザー 長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い』を読んだ(後編)

『モンスターマザー 長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い』(福田ますみ氏著・新潮社刊)概要の続きです。
 長野県立丸子実業高校(現・丸子修学館高校)のバレーボール部員だった高山裕太くんが2度の家出をして、その原因を高山母は学校や教師にあるとして執拗に非難を浴びせ、さらにバレー部内でいじめがあると、顧問教師・部員に嫌がらせとも思える執拗な抗議をおこない、そののち裕太くんが自殺。高山母はこれをいじめが原因だと主張し、教師・部員・校長・県に損害賠償を求める訴訟を起こした――というのが、前回書いた内容でした。
 ではその続きです。

 高山母は、それまで自分が学校や教師、部員に対して攻撃的な言葉を吐き続けてきたにもかかわらず、裕太くんが自殺するやいなや、被害者の顔となってマスコミに被害感情をむき出しにして怒り・悲しみを訴える行動に出ました。
「息子は担任教師の言葉のせいで家出し、そのケアをじゅうぶんしなかった。そのうえ校長は息子に登校を強制した。さらにバレー部内で上級生が息子にいじめをした。顧問教師もいじめに加担した」
 これが高山母の主張でした。しかし実際には、家出の件は高山母のまったくの思い込みで、バレー部内のいじめに関しても、いじめと呼べるレベルのものではなかったのです。完全に被害者の顔を作っていました。
 それに乗っかってしまったのが、地元県議会議員、「人権派」を標榜する弁護士、「弱者の味方」と評されるルポライター。彼らは高山母の言葉のみをそのまま信じ込み、「被害者」の高山母を擁護し、最初から学校・教師・行政を悪とみなすイデオロギーむき出しで、高山母の裁判の支援に乗り出しました。
「人権派」弁護士は、高山母の民事訴訟の弁護だけでなく、当時の校長に対して「裕太くんはうつ病であったにもかかわらず、登校を促した。これは殺人罪に相当する」と、刑事告訴までもしました。

 そうして裁判が始まったのですが、その当時に高山母側の支援者によるブログと銘打った↓このブログが開設されました。

 丸子実業高校生 いじめ 自殺事件
 http://blog.livedoor.jp/yutatakayama/

 ここには
「このブログは長野県丸子実業高校一年生、高山裕太君の自殺事件を検証するものです。裕太君のおかあさんなどから情報提供を受け、有志支援者の協力によって運営されています。マスコミ等一般に公開されていない情報も多数掲載しています」
 と説明があります。しかし『モンスターマザー』著者の福田氏によると、このブログは高山母自身が開設・運営しているものだとのことです。
 そして福田氏は同書にこう書いています。
“このブログは、第三者を装い根も葉もない虚偽の情報を多数掲載しているうえに、棺の中の裕太君の死に顔をアップしたり、校長に対する告訴状を、不起訴になったあとも長く掲載し続けたりしていた。”(221ページ)

 このブログに影響されて丸子実業に対する非難を浴びせる人が多数出てきて、教師も部員も世間から攻撃を受け続ける日々が続きました。
 ついに学校側は反撃に乗り出しました。今まで高山母にいいようにやられ続けた自分たちこそ被害者だ、泣き寝入りせずに汚名を返上しようと、高山母を名誉棄損で逆提訴したのでした。
 この逆提訴にも、世間からの非難が浴びせられました。「加害者が被害者を訴えるとは何事か」と。同書150ページには
“しかしこの訴訟に、インターネットなどで、「加害者による逆恨み訴訟」「逆切れ訴訟」などと心ない言葉が投げつけられた。”
 と書かれています。その心ない言葉が書かれたサイトないしブログについては詳しく言及されていませんが、おそらく↓ここであると思われます。

 きょういくブログ
 http://kyouikublog.wpblog.jp/

 このブログに、丸子実業事件に関して学校・教師・部員側が逆提訴した件を取り上げた記事がありました。↓これらです。

 加害者の開き直りでたらめ提訴:長野いじめ自殺事件
 http://kyouikublog.wpblog.jp/280.html

 報道された内容よりもさらに悪質だった:長野いじめ自殺・加害者の逆切れでたらめ訴訟
 http://kyouikublog.wpblog.jp/283.html

 上記記事に「逆切れ訴訟」の言葉が使われていました。さらには
「こいつらはいじめを反省していない、むしろ正当化している」
「バカなでたらめ訴訟」
「でたらめ訴訟を起こす手口の嫌がらせ」
「顧問や主犯格が部内での有力者となっているため、他の中立的な部員や保護者にも圧力をかけている」
 もうまさに、心ない言葉があちこちに散見されます。どうもこの筆者は、加害者とされた者ならば、それがたとえ冤罪の疑いがあったとしても、誹謗中傷しても一向にかまわないとでも考えているようです。

 さて、この裁判の結果はどうだったかといいますと……結論を先に言えば、学校側の勝利でした。これについての詳細は、まず『モンスターマザー』を読んでもらったほうがよいと私は考えましたので、ここでは割愛するとします。
 で、上記「きょういくブログ」は、その裁判の結果をどう評したかといいますと……

 丸子実業高校いじめ自殺事件:自殺した生徒の母親に賠償命令!?
 http://kyouikublog.wpblog.jp/1105.html

 丸子実業高校いじめ自殺事件:「名誉毀損」訴訟の裏側
 http://kyouikublog.wpblog.jp/2203.html

 だとのことです。そして福田ますみ氏に対しては、

 丸子実業高校いじめ自殺事件を「でっちあげ」と攻撃するライター
 http://kyouikublog.wpblog.jp/6153.html
 ↓その記事中より引用。

 文章そのものは当方ではまだ入手していないものの、広告の内容、また筆者名をみるだけで、被害者遺族を攻撃し悪質な中傷を加えるものであろうことは容易に予想がつく。

 問題となっている丸子実業高校のいじめ自殺事件は、「でっちあげ」とはとうてい言えない内容である。


 ……読みもしないで「攻撃」「悪質な中傷」と決めてかかるのですね。もうため息しか出ません。


 ……と、2回にわたって『モンスターマザー』の概要を書いてきましたが……
 この本に登場するモンスターマザーの異常ぶりに悪寒がしてきたのはもちろんですが、それよりも背筋が凍る思いがしたのは、彼女を何の疑いもなく擁護し支援した「人権派」「弱者の味方」と称される人たちです。彼らは学校というものを「権力」だとみなしているため、常に学校を「悪」としか見られず、高山母のような人でも支援に乗り出してしまう。そんな危うさを持っているということが、この本を読んで認識できました。いったい、彼らの守ろうとしている人権とは、どういったものなのか。
 また、この本の読後に私の中で、ひとつの危惧が生じました。それは、
「今後本当にいじめによる自殺が起こっても、遺族が学校に嫌がらせをしていたのが原因ではないか、という見方をされてしまいかねない」
 ということです。被害者側にあらぬ疑いをかけられることにつながりかねない、と。その意味からも、この丸子実業高校の一件は暗い影を落とした、といえそうです。


(追記 2017-01-23)
 上記にて取り上げた「きょういくブログ」どうやら福田氏の著書を読んでいたようです。
 しかしいまだに「被害者(高山母のこと)への中傷が続いている」と書く始末。さらに
「『新潮45』に掲載された福田氏の『丸子実業いじめ自殺事件はでっちあげ』記事は、読んだだけでバカバカしいと思える内容だった。これは単発で終わりスルーされるものと思ったが、まさかの書籍化となり、被害者への中傷がされる形となった」
 とのこと。もう考えが完全に凝り固まってしまっているという印象しか受けません。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

エビフライ飯

Author:エビフライ飯
大阪府在住。男性。
発達障害の一種、高機能自閉症を抱える人間。
公営競技・野球・サッカーなどのスタジアムという空間が好きな自分です。
ファジアーノ岡山の本拠地・シティライトスタジアムに時々出没しています。



ブログランキング・にほんブログ村へ

にほんブログ村 旅行ブログ スポーツ観戦・遠征旅行へ

にほんブログ村 サッカーブログ ファジアーノ岡山へ

メールはこちらから

お名前:
メールアドレス:
件名:
本文:

Twitter
エビフライ飯のツイッター。↓ここでいろいろつぶやいています。


過去のつぶやきはツイログで。
自作小説
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
津 (7)
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QRコード