ボート&オートレース好きの自閉症者ですが、何か?

発達障害の一種、高機能自閉症を抱えるエビフライ飯が、好きなボートレース(旧「競艇」)とオートレースのこと、自身の障害のことを中心につづります。

『モンスターマザー 長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い』を読んだ(前編)

 この連休中、私は『モンスターマザー 長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い』(福田ますみ氏著・新潮社刊)という本を読みました。↓amazonの紹介ページ。

 http://www.amazon.co.jp/dp/4103036737

 この本、2005年に長野県の丸子実業高校(現・丸子修学館高校)で起こった「生徒のいじめ自殺」とされた事件に関するルポルタージュです。なぜ「と“された”」と書いたのか? それはこれからつづっていく同書の概要をご覧になると、おわかりになると思います。ではその『モンスターマザー』の概要を――


 2005年12月6日、当時長野県立丸子実業高校1年の生徒でバレーボール部に所属していた、高山裕太くんが自宅で首をつって自殺する事件が起こりました。マスコミはこぞってこれを「いじめが原因の自殺」と報道。これはいじめ自殺事件と世間では見られていました。
 だが、その裏には「実は加害者は裕太くんの母親(以下高山母」と表記)のほうであり、むしろ生徒・教師らは被害者だった」という、一見すると信じられないような事情が隠れていたというのです。それを克明につづったのがこの『モンスターマザー』です。


 丸子実業高に入学した裕太くんは、2005年5月に突然家出をしました。高山母が、裕太くんに対し金を盗んだと疑って「出ていけ」と怒ったのがきっかけでした。幸い1日後に裕太くんは見つかりました。
 しかし同年8月、裕太くんはまた家出。前日に裕太くんが課題を提出していなかったことで、担任教師から「2学期の評定が1になるよ」といったことを言われたと知った高山母は、これが家出の原因と断定。すると高山母は
「うちの子が自殺したら、担任のせいだ! 学校のせいだ! 先生、生徒みんなで捜せ!」
 と、なぜか学校や教師に対して命令口調。教師たちは懸命に捜索しているにもかかわらず
「担任には学校をやめてほしい。裕太が死んだら担任は責任をとれ!」
 裕太くんは6日ぶりに東京で発見されました。しかし高山母は担任教師に対して「退職しろ!」と言い放つ始末。当時の校長も謝罪文を持って高山母の自宅を訪れるも「私たちを追いつめている、人殺し!」と叫ぶ有様。もう息子の家出の原因はすべて学校・教師にあると言わんばかりの態度。その後裕太くんは不登校に陥りました。
 それから高山母は県教育委員会に脅迫まがいともいえる謝罪要求を、電話・メール・ファックスで大量におこなうのでした。さらに「裕太くんがバレー部内で、彼のしゃがれ声をマネしてからかういじめを受けている」との内容を部員の家や顧問教師宅・学校に送りつけ「裕太くんが不登校となったのは、学校の対応のせいであり、部内のいじめのせいだ」とわめき続けるのでした。

 2005年9月半ばから、高山母は「裕太は部内で先輩からしゃがれ声をからかわれ、ハンガーで殴られるいじめを受けた」と主張、いじめの首謀者とされた生徒の家に執拗に抗議の電話をかけるようになりました。
 しかしその「いじめ」とされたことの内実は、
「当時流行していたコメディアンの持ちネタのマネを部員がしていたのを、顧問教師が裕太くんの声をからかっていると勘違いして注意した」
「上級生がハンガーで裕太くんを殴ったのは事実だが、それは裕太くんのみならず1年生全体におこなったもので、やり方は不適切だったものの、裕太くん個人を攻撃したわけではなかった」
 というものだったというのです。つまり、丸子実業高バレー部内には、最初からいじめといえるようなことは存在していなかった、ということです。裕太くんの不登校の原因は学校ではなく、母親の学校に対する行動が引き起こしていたのです。にもかかわらず、高山母は勝手に「担任が裕太を追い詰めた」「バレー部員が裕太をいじめた」と思い込み、ひたすら学校や教育委員会に対してヒステリックな抗議を続けるのでした。
 しばらくして、裕太くんは再び登校しようとするのですが、その際高山母は学校・教師・バレー部関係者を激しく非難する内容の手紙を作成、これを同級生全員に配らせようとしたといいます。そんなことをしたら、ますます裕太くんは精神的に追い詰められるであろうにもかかわらず。

 そして悲劇は起こりました。裕太くんが自殺したのです。部内でのいじめなどなかったにもかかわらず、「いじめ自殺だ」とのマスコミ報道によって学校は加害者とみなされ、バレー部顧問教師と部員たちは世間からいわれのない非難を浴びることとなってしまいました。
 高山母は「息子が自殺したのはバレー部内のいじめ原因、それを放置した顧問教師や校長、県の責任」として、いじめ加害生徒・教師・校長・県を相手取って損害賠償訴訟を起こしました。その際、高山母は「人権派」「弱者の味方」と称する「援軍」を得て、彼らの後押しのもと裁判に臨むのでした――


 長くなるので、続きはまた後日。

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