2012-05-03

発達障害を「存在してはならないもの」定義する条例案だと?

 大阪府の地方政党「大阪維新の会」が、大阪市議会に家庭教育支援条例(案)を提出したとのことで、↓こちらにその内容が掲載されていました。

 http://osakanet.web.fc2.com/kateikyoiku.html

 第4章の第15条~第19条は発達障害に関する条項となっているのですが、ここに一見して疑問を抱かざるを得ない条文があるのです。

「乳幼児期の愛着形成の不足が軽度発達障害またはそれに似た症状を誘発する大きな要因であると指摘され」
「わが国の伝統的子育てによって発達障害は予防、防止できるものであり」

 この箇所です。これだけでも「発達障害は親の育て方の悪さが原因で起こる」といった誤解を広めかねない一文。さらに第4章全体がいかにも発達障害を「存在してはならないもの」と定義したうえで書かれたように思えてなりません。何せ「発達障害の“予防”」などと書かれていますからね。
 よくわからないのが、上記の「伝統的子育て」という言葉。これはいったい、具体的に何をするということなのでしょうか? 条例案前文に
「かつて子育ての文化は、自然に受け継がれ、父母のみならず、祖父母、兄弟、地域社会などの温かく、時には厳しい眼差しによって支えられてきた」
 と書かれていますが、そうすることが「伝統的な子育て」にあたるのでしょうか? しかしこれだけでも、具体的なものは見えてきません。あまりに漠然としすぎています。

 また、もしこの条例案が通ったならば、危惧すべきことがあります。発達障害当事者やその親を社会から孤立させかねない、ということです。
 条例によって「親の愛情不足が原因」ということがお墨付きにされることで、発達障害の子を持つ親は世間で「吊るしあげ」の対象とされてしまいかねません。またその子も「悪い親」とレッテルを張られた親から生まれたことで、その子もまた悪いとレッテルを張られ、学校でいじめ被害に遭い、また就職も制限されてしまう事態となる可能性もあります。
 結果、発達障害当事者とその親は世間でつまはじきにされ、居場所を失い、下手をしたら親子ともどもそろって自殺、などということにつながりかねません。

 そういうことからも、この条例案の条文はおおいに問題あり、といえます。


 ……と、そんなことを思っていたら、↓こんな本があることがわかりました。

 発達障害を予防する子どもの育て方―日本の伝統的な育児が発達障害を防ぐ
 著者:澤口俊之・片岡直樹・金子保  発行:メタモル出版

 http://www.amazon.co.jp/dp/4895957276

 維新の会が今回の条例の参考文献としたのは、もしかしてこの本なのでしょうか?
 そうでないとしても、この本の著者は「発達障害子育て要因説」「発達障害の“予防”」を流布しているという点で、維新の会と意を同じくしていると思わざるを得ませんね。


(追記)
 大阪維新の会代表・橋下徹大阪市長はツイッターにて、
「親の愛情不足を発達障害の原因とすることは問題あり。賛同できない。科学的でない」
 と発言していました。
 どうやら維新の会の考え方=橋下氏の考えというわけではないようです。

(追記2 2012-05-08)
 上記条例案は、白紙撤回されたとのことです。

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エビフライ飯

Author:エビフライ飯
大阪府在住。男性。
発達障害の一種、高機能自閉症を抱える人間。
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